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頼まない

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神戸の北のほうに文句なしにおいしいうどん屋さんがあるので夫とふたり、高速道路を使ってまでも食べに行く。
決してにぎやかとは言えない場所にあるそのうどん屋さんはそれでも大繁盛。お店の外の椅子に腰掛けてぼんやり田んぼを眺めながら順番待ち。
この日の夫は朝からパンを少しかじっただけなのでべらぼうにおなかがすいており、順番を待っている間においしいうどんへの期待と食欲をどんどんとふくらまして「もう『大盛り』なんてもんじゃ足りないよ!」とか言い出し結局勢い良く「大盛り3人前」を注文。はじめこそふたりでぐるぐる回しながら3種類のおいしいうどんを楽しんでいたが最終的には夫がふたつのどんぶりを抱えるようにして持ち、「くいしんぼう万歳!」みたいな風情でうどんを吸い込んでいったため案の定胃腸がびっくりして帰ってからおなかをこわした。

2007年08月29日 | 日記

落ち着かない

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ベランダに「せみ」がいる。
毎年毎年。鳴き声を聞いているメスは妻しかいないようなマンションの高層階にわざわざ飛んでくるのはなぜなのか。おっかなくていつまでもベランダに出られない妻は速やかに夫に依頼。夫は「よしきた」とたのもしくベランダに出てちょっとドキドキしながら「せみ」をむんずとつかまえ、渾身の力で大遠投。「せみ」は「ぎょー」と言いながら慌てて空へ飛んでいった。さようなら。良い人生を。ひと安心の妻はいそいそと洗濯物を取り込み、入道雲なんかを眺めながら夫と「夏だねえ」なんて言い合ってのんきさを取り戻したのもつかの間。今度は冷たい風と共に雷さんがやってきて、絵に描いたようなびかびかした光でもって盛大に海を照らしたのだった。
2007年08月23日 | 日記

共鳴しない

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おなかがすいた夜。
しかしもう午前も3時なので我慢しておとなしく眠る。静かな心で横になっていると妻のおなかがわりと大きな音で突然「ごるごん」と鳴った。チーズ。慌てておなかを押さえるも妻のおなかは妻の意思とは無関係なところで「ごるごん」「ごーるごん」と喋り続け、しまいには妻の隣でぐっすり眠りこけている夫のおなかまでも「御意(ぎょい)」と返事をしだして寝室はたいへんにぎやかに。
2007年08月22日 | 日記

走らない



ゴンゾウさん(写真のへんなパンダ)が家にやってきてからというもの、どんどんと増え続けるミニチュアの食玩。
どうして普段のサイズより小さいというだけで、こうも胸躍るのか。そういえば昔からシャープペンシルの芯のおまけについてきた「おむすび消しごむ」(中にうめぼしの形の消しごむがはいっている)(消しごむといえども字は一文字も消えない)が意味もなく好きだった。これはもう性分なのだ。
ゴンゾウさんにはやや小さい、掃除機でかりっと吸ったらいっかんの終わりみたいなミニチュアを眺めて楽しんでいるうちに、妻はこれを飾れるような小さな家が欲しくなったのだった。「鼻さん」が住めるぐらいの、小粋な和室が良い。庭があればなお素敵だ。



そこで調べに調べた結果、数年前に入浴剤のおまけとして売られていたという一軒家を見つけてオークションで購入。各部屋がばらばらに入っていて、つなげると立派な家になるしくみ。しかも家具までついていた。こうなるとすでに入浴剤がおまけだ。



極めてサザエさん的な部屋にはこたつとみかん。たんすの上にだるま。台所にはふきん掛け。流しの下にはうめぼしのかめ。窓なんかもちゃんとあって、妻は虫さえ出なかったらこんな家に住みたい。



お風呂とトイレも昭和なおもむき。
小学校の時にサンタクロースにもらった「シルバニアファミリー」よりもべらぼうにわびしい風情。おまけにお風呂ではきれいなおねえさんが入浴中。もちろん取り出してしみじみ眺めてから新住人の鼻さんをどーんと投入。



がっ。



小さすぎた。
あんなに調べたのに。悲しみに暮れながらただのオブジェと化した一戸建てをそっと戸棚にしまう。
しかしよくよく考えてみるとこれでは妻の持っているミニチュアを置くことが出来ない。かといって「週間ドールハウス創刊号は280えん」などの家は気が長い上に緻密すぎてきっと妻には作れない。そこでお得意の100円ショップに出かけて具合の良さそうなものを探し、考え考え簡易ハウスを作ることに。



木目の模様の発泡スチロールのような板(100円)を長さも測らずにカッターで切り、ガムテープで固定。壁紙として和紙の粘着シート(100円)を貼って適当極まりない部屋をこしらえた。入り口や長押(なげし)のつもりの木っ端なんかはつくね用の竹串(100円)にニス(100円)を塗って貼り付けただけだ。不器用な妻は「のこぎり」を扱えないのでぶあつい竹串は根性ではさみで切った。指がもげるかと思った。もう二度とやらない。



外側の、ガムテープちぎりっぱなしの見栄えをどうにかするべくぺらぺらの板(100円)をはさみでちょきちょきと切ってニスを塗り、貼り付けると見事なバラック小屋に。発泡スチロールむき出しよりははるかにましだけれども、さっきの一戸建てに比べるとどうやっても「夏休みの工作」感が否めない。



そういえば昔「発泡スチロール」の事を「発泡すチロール」だとずっと思っていた。「欲す」や「伏す」のようなサ行変格活用的なものだと信じて疑わなかったのだった。ばかだった。「スチロール」の意味もいまだわからないけれども、「チロール」だなんていよいよもってわからない。
ちなみに妻の兄もつい最近まで「プラスチック」のことを「プラッチック」だと思い込んでいた。友人と話している時に「プラッチック」「プラッチック」と言っていたら「なんでそんなに巻き舌で言うの?」と言われて初めて気付いたそうだった。きょうだい揃ってばかだった。



興に乗って切っただけの「のれん」に使い道のない「おでん」のはんこをポンと押して、とうとう鼻さんの家は出来た。どうせ何かを作るのならお菓子でも焼けば素敵っぽい奥さんになれるのに、妻が手を出すのはどうしてこんなに実生活に関係ないものばかりなのか。



引越し開始。
残りの板をくっつけて作ったいごいごに歪んだ棚にピンセットで慎重にものを配置してから最後に鼻さんを置いてためつすがめつ眺めてご満悦。



なぜだか出したい生活感。
炊飯器の横のふせた茶碗と「しょうゆさし」が特に良い。自画自賛しつつ仕事から帰ってきた夫にさっそく見せると夫はソファの前の小さなテーブルに乗せていたこの鼻さんハウスに「すごーい!」と言いながら駆け寄って、勢いあまってテーブルの脚をぼがーんと蹴ってあわれハウスの中の家具はミニチュアもろともバキャーンとほうぼうに飛び散った。

2007年08月17日 | 日記

止まれない



野球のチケットをもらった。なんでも試合の途中でどーんと花火が上がるとか。かき氷もあるとか。野球のなんたるかも知らない妻だけれど、夕涼みがてら夫と野球場デートなんて素敵だ。シャワーを浴びてから意気揚々とお出かけ。
しかし玄関を出て2分でさっそく大問題。夫の愛車のバッテリーが上がっている。なぜだ。よく見ると車内灯のスイッチが入ったままだった。誰だ。オレがオマエがという押し問答すら忘れ車の前でふたりして立ち尽くし。しばらくぼうぜんとしたのち、動かない車を立体駐車場から汗だくで押し出してロードサービスにお電話。石ころなんかを蹴ってしんみり待つ。果たして30分後にロードサービスのお兄さんは大きな牽引車に乗って笑顔でやってきて、速やかにエンジンをかけてくれた。救世主。本当にありがとう。満面の笑みでお礼を言う夫と妻に、お兄さんは「バッテリーを充電しないとまた止まりますから、今から2時間ぐらい車に乗って走り続けてください」とわりとひどいことを爽やかに言い放ってじゃーねーと帰って行った。野球観戦あっさり中止。かくして我々は、エンストしたら終わりの爆弾みたいな車に乗ってどこにも行きたくもないのに西へ西へと高速道路をひた走る羽目に。まったく夕涼みどころじゃなかった。


2007年08月13日 | 日記

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